「とりあえず、ぽんてに相談」と思ってもらえる場所にしたい。越谷で生まれ育った髙橋徹先生が、ご自宅まで伺う理由
INTERVIEW
- ぽんて鍼灸整骨院 -
- 「とりあえず、ぽんてに相談」と思ってもらえる場所にしたい。越谷で生まれ育った髙橋徹先生が、ご自宅まで伺う理由
PROFILE
ぽんて鍼灸整骨院
院長 髙橋 徹 (たかはし とおる)
はり師/きゅう師/柔道整復師
- 所在地 埼玉県越谷市千間台東1丁目7-13 5F
- 対応エリア 埼玉県越谷市北部(せんげん台周辺)・春日部市南部・松伏町
- 受付時間 平日9:30-13:00、16:00-19:30 土日祝9:30-18:00|水曜日定休
埼玉県越谷市出身。幼少期からサッカーに打ち込み、度重なる足首のけがでお世話になった接骨院の先生への憧れから、治療家を志す。鍼灸師・柔道整復師の国家資格を取得し、カイロプラクティックを中心とした治療院で約8年間経験を積んだ後、2013年に地元・越谷市で「ぽんて鍼灸整骨院」を開業。
患者様との「通えなくなったら、今度はこちらから伺います」という約束をきっかけに、訪問鍼灸マッサージにも取り組む。「とりあえずぽんてに相談しよう」と思ってもらえる治療院を目指し、地域の方々の健康と暮らしを支えている。
目次
INDEX
- 01. 学級委員長でキャプテン、でも本人は 「縁の下の力持ち」。越谷で育ったサッカー少年
- 02. 足首の捻挫と、近所の接骨院の先生への憧れ
- 03. 若き日の遠回りの2年間。 プールの監視員をしながら見つけた道
- 04. 受付から鍼灸学校へ。午前は学校、午後は治療院
- 05. 患者として出会った師匠のもとで8年。「はっきり伝えること」が安心になる
- 06. 地元・越谷に開業したかった。 屋号「ぽんて」に込めた「健康への架け橋」
- 07. 1日の患者さんは1人だけだっとという開業当初…。 しかし、土日も対応することで広がった紹介の輪
- 08. 「とりあえずぽんてに行こう」と思ってもらえる場所に
- 09. 「通えなくなったら、今度はこちらから行きます」。 それが、訪問治療の始まりだった。
- 10. スーツにネクタイで伺った、初めての訪問現場
- 11. ご家族やケアマネジャーに、現状をきちんと伝える
- 12. コロナ禍に患者様からかけられた 「ぽんては絶対に潰しちゃだめだよ」
- 13. 初回から担当者が伺う体制と、 女性施術者が在籍している安心感
- 14. ご利用までの流れと、訪問可能エリア
- 15. 地元を離れた人が帰ってこられる場所を守りたい
- 16. まとめ
- 17. 最後に地域の方にメッセージをお願い致します。
埼玉県越谷市。東武スカイツリーラインのせんげん台駅から歩いて3分ほどのビルの5階に、髙橋徹先生が院長を務める「ぽんて鍼灸整骨院」「ぽんてカイロプラクティックオフィス」があります。2013年の開業から13年。治療院での施術に加えて、通院が難しくなった方のご自宅や施設へ伺う訪問鍼灸マッサージにも取り組んでいます。
髙橋先生は越谷で生まれ育ち、今も越谷で暮らしています。柔道整復師、はり師、きゅう師の国家資格を持ち、治療の道に入って20年以上。カイロプラクティックの講師として、全国の治療家に技術を教えてきた経験もあります。
取材の中で、先生が何度も口にした言葉があります。
「とりあえずぽんてに行こう、と言ってもらえるようになりたいんです」
体のことで困ったら、まずぽんてに相談すれば何か糸口が見つかる。地域の方にそう思ってもらえる場所でありたい。その思いは、治療院内での施術でも、ご自宅への訪問でも変わりません。サッカーに打ち込んだ少年時代から、遠回りをした20代、そして一人の患者様のひと言から始まった訪問まで、じっくりとお話を伺いました。
学級委員長でキャプテン、でも本人は 「縁の下の力持ち」。越谷で育ったサッカー少年
髙橋先生は越谷市で生まれ育ちました。3人兄弟の長男で、医療とは縁のない家庭だったといいます。
長男らしく、我慢する場面も多かったそうです。「下の兄弟は要領よくすり抜けて、あまり怒られない。なんで僕のときは怒られるんだろう、と理不尽に感じていました」と笑います。
小学校から中学校まで、学級委員長を任されることの多い子どもでした。ただ、本人の自己評価は少し違います。
「みんなを引っ張って前に行くというより、黙って背中で見せるタイプでした。どちらかというと、縁の下の力持ちですね」
その姿勢は、サッカーでも同じでした。幼稚園で園の代表チームに入ったのを皮切りに、小学校でサッカー少年団に入り、小学生のころからずっとキャプテンを務めます。真面目に練習して、仲間と仲良くする。それが先生なりのチームのまとめ方でした。
足首の捻挫と、近所の接骨院の先生への憧れ
中学校ではサッカー部で県大会優勝を果たし、個人としても関東地区で高い評価を受けるほどの選手だった髙橋先生。
ただ、その先のサッカー人生は順風満帆とはいきませんでした。中学時代の全国大会への道は思いがけない形で断たれ、高校進学の際にも悔しい経験をします。進学した地元の高校では1年生でサッカー部を離れ、顧問の先生に誘われてバレーボール部へ。お母様がバレーボール経験者だったこともあり、3年生まではリベロとしてコートに立ちました。
「いろんな人に迷惑もかけたし、お世話にもなりました。人生の中で、本当にいろんなことがありました」
長くスポーツを続ける中で、先生を悩ませたのが足首の捻挫でした。小学生のころから捻挫を繰り返し、ボールが蹴れない、足をつくと痛くて走れない、ということがたびたびあったといいます。
そのたびにお世話になったのが、家の近所の接骨院です。電気をかけ、テーピングをして、包帯を巻いてもらう。そうして手当てを受けては、また練習に戻っていく日々でした。
「プロサッカー選手になりながら、接骨院の先生にもなりたい。小学生のころから、そう思っていました」
後年、治療家になった先生は、所属する埼玉県接骨師会の集まりで、幼少期にお世話になった接骨院の先生と再会します。「子どものころにお世話になりました」と挨拶すると、髙橋先生のことを覚えていてくれたそうです。
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若き日の遠回りの2年間。 プールの監視員をしながら見つけた道
高校卒業を前に、接骨院の先生(柔道整復師)になりたいと進路を相談したところ、返ってきたのは思いがけない言葉でした。
「柔道整復師は柔道をやっていた人がなるものだ、と言われて。お前は柔道をやるのか、と聞かれたんです」
柔道はやりたくない。そう答えた先生は、いったん夢をあきらめてしまいます。大学にも専門学校にも進まず、やりたいことが決まらないまま高校を卒業しました。
転機は、意外なところから訪れます。友人たちとファミリーレストランで食事をしていたとき、隣の席の人から「プールの監視のアルバイトをしてくれる人はいないか」と声をかけられたのです。話だけ聞いてみようと出向いたところ、その場で翌日からの勤務が決まりました。
「本当に、行き当たりばったりでした」と先生は笑います。
プールの監視員として働いた約2年間。プールには、リハビリのために通う方も少なくありませんでした。「どうしたら、私の膝と腰が良くなるかな?」。
そんな相談を受けるうちに、治療の仕事への思いが再び湧き上がってきます。改めて調べてみると、接骨院の先生(柔道整復師)になるには柔道の経験がなくても学校に入れることがわかりました。
ちなみに今のぽんてには、柔道の有段者である柔道整復師も在籍しています。柔道に打ち込んできたスタッフと、柔道をせずに資格を取った院長。どちらも同じ柔道整復師です。高校3年生の髙橋少年に、教えてあげたい話かもしれません。
受付から鍼灸学校へ。午前は学校、午後は治療院
先生はまず、地元の接骨院で受付として働き始めます。この院では鍼灸の施術も行っていました。自分に向いている仕事なのかどうか、現場で確かめたいという思いもありました。のちに奥様となる女性と出会ったのも、この受付時代です。
働きながら先輩たちと話すうちに、鍼灸を学んでみてはどうかと勧められます。資格を取るなら、まずは鍼灸から。そう決めた先生は、21歳で埼玉東洋医療専門学校の鍼灸科に入学しました。
午前中は学校で学び、午後は治療院で働く毎日です。もともと暗記は得意ではなく、360を超えるツボの名前を覚えるのには苦労したといいます。
「でも、興味があって始めた勉強だったので、楽しく学べました」
印象に残っているのは、臨床の話を交えて教えてくれた先生たちの授業でした。体の仕組みが実際の施術にどうつながっていくのか。その面白さに触れた3年間だったといいます。
在学中には、同級生が立ち上げたフィットネスクラブのコンディショニングルームの運営にも約2年携わりました。そして卒業時の国家試験には、一度で合格を果たします。
患者として出会った師匠のもとで8年。「はっきり伝えること」が安心になる
次の転機も、患者という立場から訪れました。髙橋先生自身が膝を痛めて悩んでいたとき、鍼灸学校の同級生から「うちの院長に診てもらったら」と、その同級生の勤め先の接骨院を紹介されたのです。
その院長は、鍼灸や柔道整復というよりも、カイロプラクティックを軸にした先生でした。それまで先生が知っていたカイロプラクティックとはまったく違う施術に、強く惹かれたといいます。
「こういう勉強がしたい。どうやって勉強したらいいですか、と院長に相談したんです」
それから約1年、教わりながら学びを重ねていたところ、同級生が退職することになり、「代わりにうちで働かないか」と声がかかります。こうして先生は、カイロプラクティック治療を主体とした院で、8年近くを過ごすことになりました。
院長、受付スタッフ、先生の3人だけの小さな院です。先生は、院長が患者様にどう接し、どう施術しているのかを観察し続けました。一日の終わりには「あのときはどうして、あのような対応をしたのですか?」と質問する。そのやり取りが、ほぼ毎日続いたそうです。
院長は、慎重な髙橋先生とは対照的に、はっきりとものを言うタイプでした。
「でも、はっきり伝えてあげることが、患者さんにとってはすごく安心感になる。それは見ていてよくわかりました。自分にはなかなかできないことでしたね」
院長のもとで学んだのは、SOTと呼ばれるカイロプラクティックのテクニックです。骨をボキボキと鳴らすような強い刺激ではなく、体を多角的に検査しながら、やさしい刺激で整えていく方法だといいます。
この院に勤めていた25歳のとき、先生は前職の受付時代に出会った女性と結婚します。結婚を機に柔道整復師の資格取得を決意し、勤めながら都内の柔道整復専門学校に通いました。
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地元・越谷に開業したかった。 屋号「ぽんて」に込めた「健康への架け橋」
2013年、32歳のとき、先生は地元・越谷で独立開業します。駅から近く、急行も停まる。通っていた高校もすぐそば。「本当に地元でやろう」と決めて見つけたのが、せんげん台駅から徒歩3分のビルの5階でした。エレベーターがあるので、足腰に不安のある方や小さなお子様連れの方も来院しやすい場所です。
開業当時、先生はホームページのスタッフ紹介にこう書き残しています。
「今までお世話になりました方々や、これから出会う患者さんのためにも、責任感をもって頑張ります」
屋号の「ぽんて」には、ちょっとした由来があります。先生の家はサッカー好きで、浦和レッズで活躍したロブソン・ポンテ選手にちなんで、愛犬に「ポンテ」と名付けていました。
開業にあたって名前を考えたとき、近隣では「髙橋」はすでに多くの院で使われていました。地名を入れようにも、近くに紛らわしい駅名があります。独自性のある名前がいい、と悩んでいたところで、「ポンテ(Ponte)」がイタリア語で「架け橋」を意味することを知りました。
「健康への架け橋になれたらいいな、と。後付けですけど、いい意味になりました」
院名の表記は、ひらがなで「ぽんて」。ロゴは、手と手を取り合った形が架け橋に見えるようにデザインされています。そこには「治療は、患者さんと施術者がお互いに協力することで、より良いものになる」という先生の考えが込められています。だからこそ、気になることや思い当たることは、どんなことでも話してほしい。ロゴには、そんなメッセージも託されています。
愛犬の名前から生まれた屋号は、こうして「健康への架け橋」という思いを背負うことになりました。
1日の患者さんは1人だけだっとという開業当初…。 しかし、土日も対応することで広がった紹介の輪
開業は、奥様の直子さんと2人でのスタートでした。直子さんは当初、受付を担当。その後セラピストの資格を取得し、現在は院に併設する「ぽんてアロマサロン」でリラクゼーションを担当しています。
ただ、最初から順調だったわけではありません。修業先の院長は、技術ひとつで患者様が集まってくる方でした。ホームページやチラシといった集客の知識は、先生にはまったくなかったといいます。
「待っていれば来てくれると思っていたんです。オープン当初は1日に患者さん1人だけ、という日もありました」
当初は日曜日を休みにして、土曜日も昼までの営業でした。「土曜の夜と日曜は、サッカーの試合を見に行きたかったので」と先生は笑います。
ところが、仕事を終えてから土曜日に来院する方が少しずつ増え、気づけば土曜日は毎週夜まで延長するようになりました。これだけ土曜日に来られる方がいるなら、日曜日も開けたほうがいい。開業した年の秋から土日も営業し、月曜日を定休日にしました。現在も土日祝日を含めて営業しており、平日は夜7時半まで受け付けています。
これが転機になります。土日に来院した方がご家族を紹介してくださり、平日の予約も少しずつ埋まっていきました。夫婦だけでは手が回らなくなるとスタッフを迎え、チラシでの発信にも取り組むようになります。それでも先生は、地域の方からのご紹介が今もいちばんの支えだと話します。
「とりあえずぽんてに行こう」と思ってもらえる場所に
治療院には、腰や膝の悩みを抱えて来院される方が多いといいます。施術で大切にしていることを尋ねると、先生はまず「スタンス」の話をしてくれました。
「とりあえずぽんてに行こう、と言ってもらえるようになりたいんです。ぽんてに相談すれば、何か解決策が見つかるんじゃないか。そう思ってもらえる場所でありたい」
この言葉は、取材の場で初めて出てきたものではありません。ぽんてのホームページにも、同じ思いが綴られています。
整形外科、内科、接骨院、カイロプラクティック、整体、鍼灸院。どれにも強みがあり、弱みもある。それらを整理して、互いに補いながら施術できれば、患者さんにとっていちばん良いのではないか。そう考えて学び続けてきた先生は、「そうだ、ぽんてに相談してみよう!」と言ってもらえる治療院を目指している、と記しています。
柔道整復、鍼灸、カイロプラクティックと、先生が複数の学びを重ねてきた理由も、ここにあります。体のことで「どこに行けばいいのかわからない」と迷っている方にとって、最初に相談できる場所でありたいからです。
そのために心がけているのは、話をよく聞き、一緒に答えを探っていくことです。初めての方には、まず「どこを目指したいのか」をはっきりさせます。
「その方がどこに行きたいのか、何を目標にしているのか。その認識を一緒に持つようにしています」
初めて来院された方には、どこにどのような症状があるのか、それはいつ、どのように始まったのか、どんなときに症状が出るのか、普段はどのように過ごしているのか。そうしたことを順を追って伺い、そのうえで体の状態を確かめていきます。ぽんてが予約優先制をとっているのも、一人ひとりとじっくり向き合う時間を確保するためです。
とはいえ、目標を打ち明けてもらうには信頼関係が欠かせません。そこにたどり着くまでに、いろいろな話をするといいます。頼ってもらうためには、知識も技術も、そして任せてもらえる人間性も磨き続けなければならない。先生はそう話します。
他の治療院との違いを尋ねると、少し考えてから、こう答えてくれました。
「人と比べないようにしているんです。他の先生方も、それぞれ考えてやっているはずなので。うちはうちで、患者さんに寄り添っていく。それだけですね」
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「通えなくなったら、今度はこちらから行きます」。 それが、訪問治療の始まりだった。
訪問に取り組むきっかけは、開業から3年ほど経ったころ、治療院に通う一人の患者様がかけてくれた言葉でした。
「私のこと、ずっと面倒見てくださいね。ここに通えなくなるまでだけど・・・」
通えなくなったら、もう診てもらうのは難しい。そう続けた患者様に、先生はとっさにこう返します。
「通えなくなったら、今度はこっちから行きますよ~!」
この約束を、何とか形にできないか。調べていく中で、先生は初めて訪問鍼灸マッサージという仕組みを知りました。それまでは、訪問で施術を受けられる制度があることすら知らなかったといいます。
ただ、自分ひとりでできることではありません。そう考えていたところに、訪問の仕事をやりたいというスタッフとの出会いがありました。さらに、越谷市内で高齢者施設を運営する施設長とも親しくなり、「うちの施設でもお願いできたら」と、最初の患者様を紹介してもらいます。人とのご縁が重なって、ぽんての訪問は少しずつ形になっていきました。
ちなみに、あの言葉をかけてくれた患者様は、今もご自身で治療院に通われているそうです。
スーツにネクタイで伺った、初めての訪問現場
立ち上げ当初は、訪問がどういうものかを知るために、まず先生自身が鍼灸師として現場に立ちました。その初日のことを、先生は今でもよく覚えています。
「緊張しすぎて、何を着ていけばいいのかわからなくて。スーツで行っちゃったんです」
患者様のご自宅は、いわばアウェーです。失礼な格好はできないと、ネクタイまで締めて伺いました。ところが、当然ながら施術はとてもやりづらい。患者様からも「やりづらいでしょう」と声をかけられてしまったそうです(笑)
2回目からは施術着を持参して現地で着替え、慣れてきたころには施術着のまま伺うようになりました。
取材の場でも笑いが起きたエピソードですが、そこには「患者様のご自宅にお邪魔する」ことに対する先生の真剣さがよく表れています。
その後、訪問施術の件数が増えるにつれて、訪問施術を希望するスタッフに少しずつ任せる体制に移っていきました。現在は、鍼灸は鍼灸師が、マッサージはあん摩マッサージ指圧師の資格を持つスタッフが担当しています。
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ご家族やケアマネジャーに、現状をきちんと伝える
訪問では、患者様ご本人だけでなく、ご家族やケアマネジャーなど、多くの方と関わることになります。そこで先生が意識しているのは、「現状をしっかり説明できること」です。
「説明するためには、まずこちらが患者さんの状態をしっかり把握しなくてはいけません」
そのために、日々の会話や検査を通じて、ご本人の状態を丁寧に確かめていきます。そのうえで、自分たちにできること、そこから考えられること、そしてこの先どのように進めていくか。それをご家族やケアマネジャーにきちんと話せるよう、コミュニケーションを重ねているといいます。
定期的にご自宅へ伺う訪問だからこそ、気づけることもあります。いつもと様子が違う、体調に小さな変化がある。そうしたサインに気づいたときは、ケアマネジャーや主治医に伝えて共有します。医師や看護師、リハビリ職、ケアマネジャー、ヘルパー。在宅の暮らしを支える多職種のチームの一員として関わることを、先生は大切にしています。
訪問施術の目標は、ご本人のことだけではありません。長い介護の中で、ご家族が肩や腰に負担を抱えていることも少なくないからです。ご本人の暮らしを支えることが、介護をなさるご家族の負担を少しでも軽くすることにつながってほしい。ぽんてのホームページには、「互いの日々を少しでも笑顔の多いものとするために」という言葉も添えられています。
ご自宅で過ごす時間が長くなると、人と話す機会が減り、気持ちまで閉じこもりがちになる方もいます。施術を通じて体に触れ、言葉を交わす。その時間そのものが、安心感につながることもあります。それもまた訪問ならではの役割だと、先生は考えています。
治療院で大切にしてきた「一緒に目標を持つ」という姿勢は、訪問の現場でも変わりません。ご本人がどこを目指したいのかを共有し、周りの方々と同じ方向を向いて関わっていく。それが、ぽんての訪問の土台になっています。
コロナ禍に患者様からかけられた 「ぽんては絶対に潰しちゃだめだよ」
訪問を続けてきた中で、先生にとって忘れられない時期があります。新型コロナウイルスの感染が広がったころのことです。
当時、ぽんての訪問先は半分以上が介護施設でした。感染対策のために施設へ入れなくなり、伺える患者様の数は大きく減りました。
そんな中、ある患者様からこう言われます。
「コロナにかかっても、私たちは病院で診てもらえない。ほったらかしなのね・・・。」
先生は、その言葉をそのままにはしませんでした。
「そんな人生、面白くないじゃないですか。自分たちもコロナにかからないように気をつけるから、一緒に元気でいましょう、と話しました」
すると今度は、患者様のほうから励ましの言葉が返ってきました。
「ぽんてさん、絶対に潰しちゃだめだよ。大変だと思うけどね」
「励ますつもりが、逆に励まされてしまって。あの患者さんの言葉は、今も忘れられません」
施術をする側と受ける側という関係を超えて、お互いを支え合う。訪問という仕事の根っこにあるものを、先生はこのとき改めて感じたといいます。
初回から担当者が伺う体制と、 女性施術者が在籍している安心感
ぽんての訪問施術では、治療院でも施術を担当している経験のあるスタッフが伺います。初回から、その後の担当となる予定の施術者が訪問するのも特徴です。まずは施術を体験していただき、ご納得いただいたうえで続けていただく流れです。
その中で「女性の施術者がいい」「男性のほうが安心」「マッサージに加えて鍼もお願いしたい」といったご希望が出てくれば、スタッフの間で相談して担当を調整します。鍼灸とあん摩マッサージ指圧の両方の資格を持つスタッフも在籍しています。
施術の内容は、担当の鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師がご本人の状態を確認し、ご本人とご家族の意向を伺ったうえで提案します。
訪問の主力として活躍しているのが、あん摩マッサージ指圧師の浅見友恵先生です。浅見先生も越谷の出身で、女性の施術者を希望される方からの信頼も厚いといいます。
これから一緒に働く仲間について尋ねると、先生はこう話してくれました。
「もともと治療院から始まっているので、訪問先でも、その方の生活の質を少しでも上げるお手伝いがしたい。そういう意識を持ったスタッフと一緒にやっていきたいですね」
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ご利用までの流れと、訪問可能エリア
訪問鍼灸マッサージは、介護保険とは別の制度です。医師の同意などの条件を満たせば健康保険(療養費)の対象となり、介護保険のサービスと併用することもできます。
ぽんてでのご利用は、おおむね次のような流れです。
① 電話で相談する
ご本人の状態やお住まいの地域などを伺います。
② ご説明・施術の体験
担当予定の施術者がご自宅や施設に伺い、ご説明と施術の体験を行います。
③ 医師の同意書を取得する
かかりつけの医師に同意書を書いていただきます。受け取り方についてもご案内しています。
④ 訪問施術を開始する
ご本人の状態に合わせた施術計画を立て、訪問を開始します。
施術は、ベッドや布団の上で1回20〜30分ほど。訪問の回数は週1〜3回が目安です。初回は、これからどのような施術を行うかを一緒に相談するため、できるだけご家族やケアマネジャーに立ち会っていただくようお願いしています。
訪問エリアは、せんげん台を中心に、越谷市北部・春日部市南部・松伏町です。何かあったときにすぐ駆けつけられる範囲で、地域に密着して訪問したいという考えからです。それ以外の地域についても、まずはご相談ください。
地元を離れた人が帰ってこられる場所を守りたい
先生が開業の地として地元・越谷にこだわったのには、理由があります。ひとつは、育ててもらった地域への恩返しの気持ち。そして、もうひとつはこんな思いです。
「結婚したり、社会人になったりして、地元の越谷から離れていく人が多いんです。その人たちがみんな帰ってこられる場所を、ここに作っておきたい。ここを守りたい、という気持ちがあります」
その思いから、開業翌年の2014年には越谷青年会議所に入会するなど、地域の活動にも積極的に関わってきました。今も地域のイベントには、できる限り参加するようにしているそうです。自分たちにできる形で地域に貢献していきたい、と先生は話します。
院内にはキッズスペースを設け、子育て家庭を応援する埼玉県の「パパ・ママ応援ショップ」の協賛店にもなっています。地元に戻って子育てをする世代にとっても、気軽に立ち寄れる場所でありたい。そんな思いがうかがえます。
5年後、10年後の目標を尋ねると、答えはやはりあの言葉でした。
「とりあえずぽんてに相談しよう、とりあえずぽんてに行こう。」
そう言ってもらえる存在になりたいんです。それが地元で広がっていったらいいなと思っています」
治療院でも、ご自宅への訪問でも、リラクゼーションでも。体のことで何かあったら、まずはぽんてへ。先生が思い描いているのは、そんな地域の姿です。
まとめ
サッカーに打ち込んだ少年時代、夢をいったん諦めた2年間、受付から始まった治療家への道、師匠のもとで過ごした8年、そして全国の治療家に技術を伝えてきた日々。髙橋先生の歩みは、決して一直線ではありませんでした。それでも先生は、その時々の出会いを大切にしながら、地元・越谷で2013年から患者様とのご縁をつないできました。
「通えなくなったら、今度はこっちが行きますよ」。一人の患者様との約束から始まった訪問施術は、今ではぽんての大切な柱のひとつです。
初めての訪問現場にスーツで伺ってしまうほどの真面目さと、コロナ禍に患者様と励まし合った温かさ。その両方が、「とりあえずぽんてに行こう」と言ってもらえる場所を支えています。
最後に地域の方にメッセージをお願い致します。
最後に、訪問鍼灸マッサージを検討しているご家族へのメッセージを伺いました。
「『私のことをずっと見てくださいね』と言ってくださった患者さんのように、長く寄り添ってくれる相手を探している方に、ぜひ頼っていただけたらと思います。訪問施術も、ひとつのご縁ですから」
「僕たちは、できる限り力になりたいという思いでやっています。そういう思いで訪問に取り組んでいる先生は、たくさんいます。ご本人がご自分の人生を少しでも有意義に過ごせるよう、お手伝いができたらと思っています。まずは気軽にご相談ください」
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