年金受給額が減るのはリスクか?

貯金箱

こんにちは、
日本訪問マッサージ協会の藤井です。

僕が普段から仲良くしているオーナー院長に
「社会保険料の支払いって、どうですか?」と聞いてみると、

  • 社会保険さえなければ、もっと利益が残るんだけど、、、
  • 社保の負担が毎月本当にキツイ、、、
  • 今年も赤字の決算書だよ。社保が無ければなぁ。。。
  • 社保があるから、スタッフの給料上げられないよ、、、
  • マジでうちの院は、社会保険料に殺されそう・・・
  • 毎月、天引きされる社会保険料にゲロ吐きそう・・・

と、見事に皆さん揃ってお悩みを抱えているようでした。

このような悩みを抱えている院長としては、
できることなら、社会保険料は削減したいとなるわけですが
社会保険料を削減すれば当然ながら弊害が出てきます。

その一つが
「将来、貰えるかもしれない年金の受給額が減る」
ということです。

テレビや新聞などのメディアを通して、
年金制度の存続がヤバイのではないかというのは
聞いたことがあると思います。

「どうせ年金を天引きされても将来貰えない・・・」

と漠然と思ってるかもしれないんですけど、
改めて数値で知っておくと良いと思います。

年金制度は、今実際に受給している方(高齢者)を
僕らが現役世代が支えてるっていうのは
聞いたことがあるかもしれません。
(※賦課(ふか)方式と言います)

じゃあ、高齢者1人を現役世代何人で
支えているのかっていうのを知っておいて
いただきたいと思います。

1950年は12.1人で1人を支えていたんです。

それが2016年だと、2.2人で1人を支える状況になりました。

そして、2025年問題が懸念される
2025年には、1.8人で1人を支える状況になり、
それでも止まらずに、
藤井(現在42歳)が65歳の年金受給対象年齢になる
2040年頃には1.4人で1人を支えるという状況になります。

そんなバカな!?と思われるかも知れませんが、
人口動態的にこれは確定している未来です。

このような状況になっているので、
年々、保険料も上がっていきますし、
年金受給額もどんどん下がっていきます。

また、年金が貰える年齢も
65歳→70歳→75歳と
どんどん上がっていきます。

このような状況ですから、
皆さん悲観的になってしまうわけです。

政府も、社会保険料ではなく
社会保険”税”と言ってくれれば
まだ諦めがつきますが、
支払った年金が、戻ってくるような
淡い期待を抱かせると
余計に切なくなってしまいます。

そうそう、先日シンガポールに行った際に
シンガポールの年金制度について
学ぶ機会がありました。

現在シンガポールでも日本と同じような
少子化による人口の減少という問題があるようです。

?

但し、日本との違いは、
支払った金額は老後に確実に戻ってくるということです。

日本の年金制度は賦課(ふか)方式ですが、
シンガポールの年金制度は積立方式だからです。

現役世代に自分で積み立てたお金が、
老後に利子がついて自分に戻ってくるの制度になっています。

これならば納得がいくということで、
シンガポールで働く人は、
自国の年金制度に不満を持つ方は少ないそうです。
?

さて、
「社会保険料を削減すれ、
 将来、貰えるかもしれない年金の受給額が減る」
という話ですが、
ではこれをリスクで考えるとどうなるでしょう?

投資の世界には割引率という考え方があります。

割引率とは、
将来のお金の価値より現在のお金の方が価値が高い
という考えです。

仮に手元にある100万円と1年後にもらえる100万円とでは
手元にある100万円の方が価値が高いということです。

1年後にもらえるはずの100万円も
たしかに100万円の価値かもしれませんが、
すぐに使えるわけじゃありません。

それに比べ手元にある100万円は
100万円以内のものといつでも交換することができます。
また、その100万円ですぐに投資効果の高いものを
購入することが出来ます。

どちらが価値が高いか、一目瞭然ですよね。

だから、仮に10年ぶりに再会した
学生時代の友人から

「1年後に100万キッチリ返すから、今すぐ100万円を貸して欲しい」

と言われても、貸す側には何のメリットもないので
交渉が成立しません。

でも、普段から気心も知れて
信頼も厚く、貯金額もある
親友から

「1年後に110万にして返すから、100万円を貸して欲しい」

と言われたら、貸してあげるケースも出てくるでしょう。

このケースでは、
100万円を年率10%で貸してあげることになります。

これは、言い換えると、
1年後の110万円の現在の価値は100万円という事になります。
つまり、1年後における110万円の
割引現在価値は100万円というふうに言えます。

では、1年後の100万円の価値はいくらでしょうか。
年率が10%なので、逆算して計算式に当てはめると
約91万円になります。

つまり、1年後の100万円の
割引現在価値は91万円という事になります。

ざっくりいえばこれが割引率ですが
要するに、年後に10%のリターンがなければ
100万円は預けておけないということです。

これと年金の受給額にも同じことがいえます。

今月、来月と社会保険料額を納めて
将来あなたが納得できるリターン(年金受給額)を得られますか?
ということです。

シンガポールであれば可能ですが、
現在の日本の年金制度では、期待できないでしょう。

であれば、リターンを生まないお金を
無駄に寝かせておくよりも
社会保険料を削減したお金で
将来のリターンが期待できる金融商品を購入したり、
新規事業の立ち上げに投資した方が
大きなリターンを得られるのではないでしょうか?

こういった観点に立てば
社会保険料を削減することで、
必ずしも将来の年金額が減ることがリスクとなるか
そうともいえないでしょう。

あなたは、どちらを選択しますか?