こんにちは。
日本訪問マッサージ協会です。
令和元年10月1日より、消費税が8%から10%へ引き上げられました。
その流れで令和元年10月1日以降から、あん摩マッサージ指圧及びはり・きゅう療養費の算定基準が変更となりました。
みなさん既にご存知だとは思いますが、
今回は、この令和元年10月1日以降、療養費のどの点が変更されたのかを踏まえ、
施術料・往療料のご説明をさせて頂きますね。
1.令和元年10月1日以降の変更点
今回の改定による変更点は下記の通りです。
【あん摩マッサージ指圧】
温罨法 :80 円 → 110 円 (30円UP)
温罨法+ 電気光線器具:110 円→ 150 円(40円UP)
変形徒手矯正術:780 円→ 790 円(10円UP)
【はり・きゅう】
初検料(1 術) 1,610 円→ 1,710 円(100円UP)
初検料(2 術) 1,660 円 →1,760 円(100円UP)
施術料(2 術) 1,580 円 → 1,590 円(10円UP)
鍼灸の初検料は100円UPと料金がかなり変更となったのが分かりますね。
ではそれを踏まえたうえで、施術料・往療料についてひとつひとつ解説させていただきます。
2.施術料
ここではマッサージ、鍼灸の施術料についてご説明します。
2-1.マッサージの施術料
マッサージは施術する箇所が何部位あるかによって料金が異なります。
またマッサージには、変形徒手矯正術という施術もあります。
変形徒手矯正術は、マッサージの中のひとつの施術方法なので、ひとつの部位に対して、マッサージか変形徒手矯正術か、いずれか一方のみの算定となります。
同一部位に対して
「変形徒手矯正術 + マッサージ」の重複請求はできない。
2-2.鍼灸の施術料
鍼灸では、マッサージにはない初検料を請求することができ、初回の施術にのみ付与することができます。
3.往療料
往療料は4㎞を基準に往療料が異なり、4㎞以内は2,300円、4㎞超~16㎞ですと2,700円となります。
直線距離で「治療院」 または「前患者様」のお宅から直線距離を計測し、そのうち『近い方の距離』で算定します。
また同一日に、マッサージと鍼灸両方の施術を行った場合は、どちらか一方のみの請求になります。
・往療料は4㎞を基準に、請求額が変わる。
(4㎞以内:2,300円 、 4㎞超:2,700円)
・同一日に、マッサージと鍼灸両方の施術を行った場合、どちらか一方のみに請求。
3-2.マッサージ+往療料
※上記金額に、負担割合をかけると、患者様の負担分金額になります。
3-3.鍼灸+往療料
※下記金額に、負担割合をかけると、患者様の負担分金額になります。
※初回の施術の場合、初検料(1術:1,710円、2術:1,760円)が加算されます。
3-4.前患者様宅からの算定の場合
スケジュールの関係上、前患者様宅から直接訪問へ伺うことが多いと思います。その場合は、往療料の算定に注意が必要です。
このような場合は、前患者様宅から対象者宅までの距離と、治療院から対象者宅までの距離とを比較し、近い距離で往療料を算定していただきます。
例えば、
・〇〇治療院 ⇔ 対象患者様宅 :10㎞
・前患者様宅 ⇔ 対象患者様宅 :3㎞
今回のケースですと、前患者様宅からの距離が近いので、3㎞、
つまり2,300円の往療料を請求できるということになります。
前患者様宅から伺う場合は、治療院からの距離と比較し、『近い距離』の方で請求!
4.療養料金例
基本料金についてお伝えしましたが、中々想像しにくいと思いますので、実際の症例をもとに療養費を見ていきますしょう。
4-1.マッサージの場合
※施術1回あたりの料金となります。
4-2.鍼灸の場合
※施術1回あたりの料金となります。
4-3.最大・最小の療養料
症例とは少し異なりますが、訪問鍼灸マッサージの療養費のマックス請求額を考えたことはございますか?
現状の最大療養費は、1回あたり7,970円になります。
内訳は下表になります。
※あくまで仮定のものになります。マッサージと鍼灸の併用や、月間16回を超える施術回数については、保険者への確認、および医師の同意のもと所定の手続きが必要になります。
実際の金額でみてみると、月単位で何倍もの差が出るということが分かりますね。
特に関節拘縮など無く比較的元気な高齢の患者様に 誰でも彼でも変形徒手矯正術の請求をするのは問題アリですが、
四肢に著しい拘縮があり歩行が困難な患者様については、ぜひ変形徒手矯正術をしてあげてください。
5.同一建物内での連続施術
同じ建物内で複数患者様を同一日に連続施術を行った場合、往療料は、患者様全員ではなく、1人分の往療料しか請求することができません。
では、同一建物の定義についてご説明させていただきます。
5-1.同一の定義
平成30年10月までは、同一建物の定義が保険者の判断に委ねられていたため不公平感があるということで問題視されていました。
しかし、平成30年10月以降はこのルールでお願いしますという通達が厚労省から出されました。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/160930-02.pdf
この中で、問題なのがコチラです
↓↓↓
「同一の建築物(建築基準法(昭和 25 年法律第 201 号)第2条第1号に規定する建築物をいい、介護保険法(平成9年法律第 123 号)第8条第 27 項に規定する介護老人福祉施設等の施設をむ。)に居住する複数の患者を同一日に施術した場合の往療料は、別々に支給できないこと。ただし、やむを得ない理由があって、同一の建築物に複数回赴いて施術した場合はこの限りでないこと。」
どういうことが問題かというと、要約すると次の2点になります。
1:建築物とは、マンション、団地、サ高住、有料老人ホームも含まれるのか?
これは、建築基準法に規定する建築物ということで、
有料老人ホーム、サ高住、一般の団地やマンション全て該当します。
ただ、同じ団地やマンションにおいても、
○○団地1号棟・2号棟や
△△マンション南棟・北棟など
土地が違えば、往療費の請求はそれぞれ可能とのこと。
2:複数回赴くやむを得ない理由とは、どこまで許容されるのか?
やむを得ない理由について、明確な基準はないのですが、
本当にやむを得ない理由があるのであれば請求可能とのことです。
ただし、やむを得ない理由を、レセプト用紙の摘要欄や別紙に記載して、連続訪問ではない事を記載する必要があるとのこと。
今まで、都道府県や市町村ごとに同一建物という基準が曖昧でしたが、
今回の改定によって、
有料老人ホーム、サ高住、一般の団地やマンション内で同一日に複数患者を施術しても、1人分しか往療料を請求できない形になりました。
同一日・同一建物内で、複数患者様を施術した場合、全員に往療請求はダメ!
1人分のみ請求可能。
6.まとめ
今回は、令和元年10月改定後の療養費の説明とさせていただきました。
往療費の同一建物の考え方で、特殊なケースの場合は、事前に保険者に確認をしていただくことをオススメ致します。
次回改定がもしあるとするならば、2021年ごろになりそうですね。
また改定があった時は皆さまにシェアしますね!
【参考サイト】
厚生労働省(令和元年9月18日発行)
はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師 の施術に係る療養費の支給について
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/180524-01-05.pdf