患者様を引き連れて独立開業しても・・・

こんにちは、
日本訪問マッサージ協会の藤井です。

訪問鍼灸マッサージの独立開業の際に、
以前の職場の患者さんを引き継いで、
そのまま独立開業するケースがあります。

これって、勤務先の治療院との間の契約で、
”患者さん引き連れ禁止”など
入社前に色々と縛りがあるものです。

でも、患者さんとしては、
会社よりも施術者のほうに付く傾向が
高いです。

無料体験の時に1回だけ顔を見せた
院長先生よりも、
週に2~3回(毎月10日程度)顔を合わせ
て、信頼関係が出来ている
現場の施術者と仲良くなるのは
自然な事です。

それで、その施術者が退職して
自分で独立開業するとなれば、
”退職しても引き続き、あなたの施術を
お願いしたい”
という流れになります。

これは、どんなに契約書で縛っても
ある一定割合で起こる現象です。

例えば、勤務時代に30人の患者さんを施術
していて、そのうちの10人の患者が、
退職後も引き続き施術をお願いしたいと
いうケース。

施術者としても、独立開業した時点で
10人の患者さんの売り上げ見込み
30万円程度)があるので精神的にも
金銭的にもとても安心です。

その10人の患者さんの担当ケアマネの情報
も持っていますし、そこからまた新たな
新規紹介に繋がっていくこともあるので、
売上も50万、80万と増えて行くことも可能
でしょう。

以前の勤務先から患者さんを引き連れて
独立開業出来れば、

・スタート時点から30万の売上見込みが立つ

・比較的短期間で、勤務時代の3倍を超える
 収入を得られる

といったことが実現できますので、
施術者にとってはとてもメリットがある手法です。

一見、メリットしかなく施術者としては
最高の独立開業法といっても良いかもしれません。

しかし、このような勤務先の患者さんを
引き連れての独立開業においての盲点
1つあります。

それは、

崖っぷち感

を味わえないという事です。

崖っぷち感なんて味わいたくないよーーー!

という方も多いと思いますが、
大成功している院長先生の多くは、
独立起業当時に、貯金が底をつくとか
深夜の警備の仕事で睡眠時間が3時間とか、
来月売上が経たなかったら生活できない、
子供のミルクやオムツを買うお金もない、
といった、ギリギリの経験をされているものです。

そのギリギリの崖っぷちの状況から
脱却する為に、ありとあらゆることをして
もがき苦しみながらゼロからイチを達成して
そこから這い上がって行く体験はとても貴重です。

人間は基本的に怠惰な生き物ですので、
独立起業してがんばろと思っても
100%の力を出し切ることはありません。

自分の能力を100%力を出して頑張ろう
と思っても、崖っぷちの状況に追い込まれ
ていなければ、実際に100%なんて出せ
るものではありません。

スムーズに患者さんを引き連れて、
売上や生活の目途が立った状況での
独立開業だと、この100%の力を
出し切るという経験が出来ないのです。

訪問鍼灸マッサージで独立開業するという
のも人生の勝負所であると思いますが、
これから先に本当に大きな勝負所が来たと
きに、それを乗り越えることが出来ない可
能性があります。

HONDAの創業者、本田宗一郎さんは
生前にこんな言葉を残しています。

——————————-
人間に必要なのは困ることだ。
絶体絶命に追い込まれたときに
出る力が本当の力です。

伸びる時には必ず抵抗がある。
必死のときに発揮される力というものは
人間の可能性を予想外に拡大するもので
ある。

【本田宗一郎】
——————————-

伸びる時には必ず抵抗がある、
ということは、
崖っぷちこそ成功の大チャンス
と捉えることが出来ます。

崖っぷちに追い込まれた時の
自分の100%の力って、
今まで想像もしていなかったようなことが
出来る事でしょう。

患者を引き連れての独立開業法は、
施術者としてメリットが多いですが、
100%の力を発揮する機会を失うと
いうデメリットもあります。

また、引き連れた10人の患者様も、
いずれのタイミングで治療終了となる
時が来ます。

その際に、ゼロから患者さんを
獲得するスキルが無いので、
結局、またお勤めに戻るという
鍼灸マッサージ師さんもいます。

どちらを選択するかはあなたの考え
次第ですが、

伸びる時には必ず抵抗がある

ということは、その抵抗を乗り越え
た先には更に大きな成功が待ってる
かもしれませんね。