院長(代表)と現場施術者の温度差

こんにちは、
日本訪問マッサージ協会の藤井です。

院長と現場の施術者の気持ちに
どうも温度差があるっていうことで
悩んでいる人も
多いのではないかと思います。

ゼロからスタートした訪問治療院の
経営が軌道に乗って、もっと多くの
地域患者さんを救いたいという思いから
施術者を月給25万円の
正社員として雇ったとします。

社会保険料やその他諸経費を考えたら
少なくても毎月30万円
近いコストとなります。

ゼロから独立起業した
院長先生なら

「ゼロ → 月商30万円」

まで辿り着くのに
どれだけ大変な思いをしたかを
理解されていると考えます。

40度近い真夏の炎天下で、
肌を真っ黒に日焼けしながらも
自転車での往診や
ケアマネさんへの挨拶回り。

雨の日も雪の日も、自宅で待っている
患者さんの為に休みなく
信頼関係と作っていく。

月末月初は、眠い目をこすりながらも
レセプト業務に打ち込んで、
家族との時間も確保できない日々…。

などなど、現場で大変な
思いを経験してきています。

その辛さが分かるからこそ、
院内の誰よりも、
仕事に対する意気込みや
やる気があるのに、
そうではないスタッフを見ると
イライラしてしまう…。

「お前、俺がゼロから
 30万円稼ぐまでに
 どれだけ大変な思いを
 したか分かっているのか!?
 なのに、お前は大した働きもせず、
 文句ばかり言いながら
 毎月給与を貰いやがって!!」

と、大声を上げたくなる気持ちを
グー――っと堪えているなんてことも
あるのではないでしょうか…^^;

院長自身は一生懸命やっているのに
それが伝わらなかったり、
もっと色々なことをしていきたいと
思っていても、現場の施術スタッフには
そんな気持ちを感じられない…

なんてことはよくあります。

そんなスタッフを見てしまうと
もう我慢できなくなり、
上記のように直接スタッフに
怒りをぶつけてしまう
院長もいるかもしれません。

また、
「伝わらないなら、
 結局自分でやった方が早い」と思い、
何でも自分でしてしまう
院長もいるかもしれません。

ただ、これでは、院長の仕事は
減らないまま増える一方です。

院長が院長にしかできない仕事を
するためには、誰かに自分の仕事を
任せていかないといけません。

そうじゃないと、
訪問治療院も組織も
成長して行きません。

それに、スタッフも仕事を任せられ
ないとモチベーションが
下がる要因になり、
やりがいを感じる瞬間が
減っていくようになります。

いつまでもこのような状態では
お互いにとって良くありません。

では、どうすれば
院長と現場スタッフの温度差を少しでも
減らせるようになるのでしょうか?

それには、何かをすると
スタッフに言う時には、
その背景にある情報まで
伝えることが大切です。

例えば、

「来月から在宅患者さんへの
 自費治療キャンペーンを
 やろうと思っている。
 そのための準備を
 しっかりとしてほしい

と告知したとします。

しかし、現場のスタッフからすると、
なぜ、それをやらなければいけないのか?

それをやると何が変わるのか?
自分たちにはどんな影響があるのか?

ということが、さっぱりわからない。

「院長のいつもヤツが
 また始まったよ…」

と、文句をいう人もいれば、

「突然やると言われても
 今もイッパイイッパイだし、
 これ以上は無理だ…」

と思う人もいれば、

「また余計な仕事が増える…
 最悪だ…」

と、モチベーションが
下がる人だっているだろう。

起業精神あふれる院長先生は、
変化しないと衰退してしまうというのが
感覚的に分かっているので、
色々な施策を打とうとします。

一方で、世の中の95%の
雇われスタッフは変化を嫌います。

院長は変わるのが当たり前、
スタッフは変わらないのが当たり前、
という根本的な考え方が違うので、
かみ合わないことは多いです。

しかし、こうなってしまうと
何かをやるとなったとしても
内心では嫌々やっているので、
なかなか仕事が前に進まなかったり、
思ったような成果に
繋がらなかったりします。

これでは、時間も勿体無いし、
エネルギーだってムダに
消費してしまいます。

こうならないためにも、
その考えに至った背景まで
スタッフに共有するということが
大切になってきます。

何かをすると決めたということは、
何かしらの考えがあるはずです。

であれば、それをスタッフに
共有する必要があります。

例えば、

「みんなも知っていると思うが、
 東京は緊急事態宣言の延長が決まった。

 昨年の同じ時期に比べると
 当院は売り上げが
 20%減になっている。

 このままこの状況が続けば
 みんなの給料も
 20%減(25万→20万)に
 なってしまう可能性もある。

 そのために、4km以上
 離れた患者さんについては、
 効率的な往診ルートに
 変更することと、
 自費治療の提案をしていく
 必要があると考えている。

 もちろん、
 自費治療で上がった
 売り上げについては、
 歩合給で給料に上乗せする予定でいる。

 提案する際のツールは、こちらで
 準備するから、その心構えだけは
 しっかり準備しておいてほしい。」

と。

このように、コレをやることで、
スタッフにどんな良いことがあるのか?
というところまで話しておくと、
より伝わりやすくなるし
実行する方も動きやすくなるでしょう。

ただ単に、これをやる、と
言われるよりも
やる理由や、
やる目的を聞かされていれば
自分事にもしやすくなるものです。

「自分の考えがスタッフに伝わらない…」

「自分とスタッフの気持ちに
 温度差がある…」

と感じている人は、
自分の考えの背景までスタッフに
伝えているか、
もう一度確認してみてください。