こんにちは、
日本訪問マッサージ協会の藤井です。
治療業界では、
「10年修行しないと1人前にはなれない」
「1万人の臨床経験が必要」
「10年間の下積みは当たり前」
といった言葉をよく耳にします。
しかし、本当に
10年の修行は必要なのでしょうか?
僕が鍼灸マッサージ師の
免許を取得したのが
2005年ですので、
既に20年以上経過していますが、
10年間の修業をしたわけではありません。
「10年修行しないと一人前になれない」
や
「1万人の臨床経験が必要」
といった考え方は、
確かに治療院業界の伝統として
根付いている部分もありますが、
一方で先輩施術者たちが
自分の立場を守るための
ポジショントークである可能性も
あるのかなって思うこともあります。
なぜ先輩は
「長い修行が必要」と言うのか?
1つの理由としては、
長期間の修行を前提にすれば、
新人がすぐに独立・成功することは
難しくなります。
その間に、
先輩は自分の地位を確保し、
競争相手が増えるリスクを
減らすことができます。
また、自分が経験した苦労を
“正当化”するため
「自分が10年苦労してきたんだから、
お前も同じだけ頑張れ!」
という心理が働くこともあります。
以前、
「寿司修行3カ月で
ミシュランに載った理由」(宇都裕昭 著)
という本が話題になったことがありました。
この本には、
寿司職人の世界で長年信じられてきた
修行の常識を覆す興味深い事例が
紹介されていました。
その中の1つとして、
たった3カ月の修行を受けた職人が独立し、
わずか11カ月でミシュランガイドに
掲載される快挙を達成したと
これを治療業界に置き換えて考えると、
「長い下積みが本当に必要なのか?」
という疑問が浮かびます。
重要なのは“修行の期間”ではなく
“現場で結果を出せるか”です。
10年の修行を終えたからといって、
成功が保証されるわけではありません。
実際、10年以上の修行を積んでも、
独立後に経営に
苦戦する治療家は少なくありません。
40代で脱サラして、
鍼灸マッサージ学校に入学し
卒業後10年以上の修業を経て、
55歳で独立開業したおじさん施術者よりも、
20代前半で
修業経験無しの女性施術者の方が
成功してしまうということも多々あります。
訪問鍼灸マッサージの現場においても、
結局のところ、
患者さんが求めているのは、
「何年修行したか」ではなく
「どれだけ満足のいく
治療を受けられるか」です。
おじさん施術者の
東洋医学やツボの難しい話を聞くより、
女性施術者と30分間、
孫のお話をするほうが
患者さんの満足度は高いことは多々あります。
時代の変化とともに、
働き方や学び方も変わります。
その流れに適応し、
柔軟に学び、最短で結果を
出すことを意識することが、
今の時代に求められる
治療家像なのかもしれません。
これからの
訪問マッサージ・訪問鍼灸業界にも、
従来の常識にとらわれない新しい発想を
持った人材が増えて、
「本当に患者さんに価値を届けられる仕組み」
が広がることを期待したいですね。