訪問マッサージにフランチャイズの看板は不要? 古川さんに根掘り葉掘りインタビューされました

 

日本訪問マッサージ協会 藤井です。

先日、
「フランチャイズ投資家」でおなじみの 古川さん のチャンネルで、
訪問マッサージのビジネスモデル を根掘り葉掘りインタビューしていただきました。

せっかくなので、
その内容をブログにも残しておきます。

 

(「訪問マッサージにFCの看板は不要?」というテーマでお話ししました)

 

以下、
対談の内容を読みやすく整えた形 でまとめています。

 

古川さんと藤井の出会いについて

古川さん:僕ら、もうお付き合い長いですよね。最初はランチェスター戦略の勉強会。僕と藤井さんがダブルスピーカーで呼ばれて、一緒に話したのが出会いですね。

藤井:そうですね。

古川さん:その頃から、訪問マッサージ業界のことは、オーナーさんつながりで何となく知ってたんですけど、藤井さんの「一般社団法人モデル」が、いわゆるフランチャイズじゃない形で。面白いなと思って、お付き合いさせてもらってます。

藤井:ありがとうございます。古川さんの勉強会メンバーの中から、当協会に入って独立された方もいらっしゃるので、今日はその辺りも含めてお話しできればと思います。

 

訪問マッサージ業界に入ったきっかけ

スタッフ:あらためて、藤井さんの自己紹介とキャリアの流れを教えていただいてもいいですか?

藤井:訪問マッサージ業界歴はちょうど20年以上になりますね。

藤井:大学を卒業して、まずは一般企業に就職したんですけど……サラリーマンに向いてなかったんですね(笑)。「社会不適合だな」と思ってしまって、2年ほどで退職しました。

そこから「どうしよう」と思っていたときに、

  • 手に職ブーム
  • 癒やしブーム

みたいな流れがきていて。

3年間学校に通えば国家資格が取れるというのを知って、
「マッサージ、いいかもな」と思って専門学校に入りました。

  • あん摩マッサージ指圧師
  • はり師
  • きゅう師

この3つの国家資格を取得して、施術家としてスタートしました。

 

独立直後は「開業初月4万円 → 2万円 → 1万円」ほぼ廃業寸前

藤井:資格を取ったので、「よし独立開業だ!」と意気込んで開業したんですが……完全に幻想を持ってました。

「開業したらお客さんが来て、リピートして、勝手に儲かるんじゃないか」

みたいな(笑)。

現実は、

  • 新規が来ない
  • リピートも続かない

開業初月の売上が 4万円くらい
しかもその半分は友達と親戚。

2ヶ月目になると、友達すら来なくなって 2万円
その次は 1万円台

ほぼ「廃業寸前」の超低空飛行でした。

 

転機になった「要介護2の祖母」への訪問マッサージ

藤井:そんなときに、祖母が大きな病気をして介護が必要になって、要介護2の認定を受けたんです。自宅から外に出られない状態になってしまって。

専門学校時代に、

「歩けない方や外出できない高齢者には、保険で訪問マッサージ・はりきゅうが使える」

という話を、なんとなく学校のOBの先輩から聞いたことがあったんですね。

「だったら自分の祖母だし、試しにやってみようか」と思って、そこから訪問マッサージを始めたのがきっかけです。

スタッフ:そこから一気に変わった感じですか?

藤井:そうですね。実際にご自宅に伺って、ケアマネジャーさんや介護関係者さんとつながっていくと、地域に「困っている方」がたくさんいることが分かるんです。

  • リハビリが必要な方
  • マッサージが必要な方
  • 通院が難しい高齢の方

そういう方々が、

「健康保険適用で出来るの?それなら是非お願いしたい」

と紹介してくださるようになって、売上は 安定的に毎月100万円台 まで伸びました。

 

自費と訪問マッサージの決定的な違いは「リピート」

藤井:一番大きく感じた違いは リピート ですね。

自費マッサージのときは、

  • 「2回目・3回目お願いします」となかなか言ってもらえない
  • 割引券・回数券・値引きなど、いろいろやったけど全然響かない

でも訪問マッサージは、そもそも対象の方が

  • 高齢で歩行が困難
  • 慢性的な疾患を持っている

ので、1〜2回の施術で良くなる人はいない
患者さんもそれを理解していますし、施術者側も分かっている。

だから初回から、

「じゃあ計画的にやっていきましょう」
「週2回で」「週3回で」継続的にやってきましょう、

という話になります。

週3回だと、月12回。
月の訪問回数がはじめからほぼ決まるので、

  • 1人 → 2人 → 3人 → 5人 → 10人…

と増えていくほど、売上がストックのように積み上がっていくイメージですね。

 

協会を立ち上げた理由は
「広島に引っ越した患者さん」との別れ

スタッフ:協会はいつごろ立ち上げられたんですか?

藤井:前身の団体を立ち上げたのが 2008年ごろ です。私が開業して3年目くらいですね。

きっかけは、当時、東京都荒川区で施術させていただいていた、患者さんの 「山本さん」というおばあちゃん です。

その山本さんが、家族の事情があって 広島に引っ越す ことになって、

「広島でも同じようなマッサージを受けたいから、藤井先生探して紹介してくれない?」

と言われたんです。

私もインターネットなどで一生懸命探したんですが、
結局、紹介できる先生を見つけてあげられなかった。

それが、ものすごく寂しくて、切なくて。

「広島でも東京でも九州でも北海道でも、安心して紹介できる先生のネットワークを作ろう」

という思いで作ったのが、今の協会の原点です。

 

訪問マッサージとは?「20〜30分・1回400〜500円の世界」

藤井:訪問マッサージは、

  • 高齢で歩行が困難な方
  • 障がいをお持ちの方

など、自力での通院が難しい方のご自宅に 国家資格を持った施術者が訪問し、
20〜30分程度 の施術を行うサービスです。

料金は、患者さんの 自己負担が1回400〜500円程度
健康保険を使った事業になります。

 

訪問マッサージにフランチャイズは必要か?

古川さん:訪問マッサージって、フランチャイズ本部も何社かありますよね。

一方で、藤井さんのところはフランチャイズではなくて、開業支援+開業後サポートのパッケージで、ロイヤリティなしという理解で合ってますか?

藤井:当たってます。

藤井:私個人としては、この 訪問マッサージという仕事に関しては、フランチャイズの必要性はない と思っています。

古川さん:フランチャイズの意味がない?

藤井:はい。意味がないと思ってます。理由はシンプルで、フランチャイズに加入する大きなメリットって 「看板」や「ブランド」 だと思うんですが、訪問マッサージの場合、その看板がほぼ機能しないからです。

 

「看板」「SEO」「MEO」が効きづらい理由

藤井:そもそも、サービス自体を知っている人が少ないんですね。「誰も知らないサービスを、誰も知らない会社が、誰も知らない名前の看板で提供していても、90歳のおばあちゃんからしたら『あんた誰?』で終わり」なんです。

古川さん:(フランチャイズ目線で)ちょっと反論するとすると(笑)、
「練馬区 訪問マッサージ」とかで検索したときに、フランチャイズのサイトが上位に出る。SEOとかGoogleマップ(MEO)で有利ですよ、って教科書には書いてあるんですけど、その辺はどうですか?

藤井:現場感覚としては、ほとんど聞かないですね(笑)。

  • 高齢の方が自分でGoogleマップを開いて
  • 「2番目に出てきたからここに電話しよう」

っていうのは、まず無いと思っています。

実際は、「どれだけケアマネジャーさんに気に入ってもらえるか」
そこ一点 です。

 

FCの「加盟金」「ロイヤリティ」は本当に必要?

加盟金500万円の唯一のメリット?

藤井:もしフランチャイズ側のメリットを挙げるとすれば……「加盟金が高いほど“やるしかないモード”になる」ことかもしれません(笑)。

たとえば 加盟金500万円 だと、
もう後戻りできないので「骨を埋める覚悟」は決まると思います。

ただ、それはあくまで “心理的な話” であって、
ビジネスとして合理的かどうかとは別問題だと考えています。

「ロイヤリティで優秀なSVを雇えます」という理屈

古川さん:あと、フランチャイズ本部の決まり文句として「ロイヤリティがあるから、優秀なスーパーバイザーを雇って教育できます」っていうのもありますけど、その点はどうですか?

藤井:現場で3年・5年とやっているオーナーさんが、当然一番詳しくなっていきます。

  • スーパーバイザーは上から言うだけになりやすい
  • 2〜3年目のスーパーバイザーより、現場オーナーの方が詳しいケースも多い

そうなると、オーナー側からすると、「このロイヤリティって、何のために払ってるんだろう?」という疑問が出てくると思うんですよね。

 

売上の基本式「患者1人=月3.3万円」

藤井:訪問マッサージの売上は、ざっくりこう考えられます。

  • 患者さんの自己負担:月3,000〜4,000円
  • 月の平均施術回数:8回前後
  • 自己負担の目安:3,300円くらい

自己負担が 1割負担 だとすると、
総売上はその10倍なので、

患者1人あたり 月約3万3,000円

というイメージです。

  • 10人 → 約33万円
  • 30人 → 約99万円
  • 100人 → 約330万円

たとえば、

「定期の患者さんが30人います」

と言われたら、
3.3万円 × 30人 = 約99万円の売上 だな、という見立てができます。

 

協会の支援は「ロイヤリティなし」:サポート費用+会費という形

藤井:一般的なフランチャイズだと、

  • 加盟金
  • +売上に対するロイヤリティ

がかかりますが、
私たちは 基本的にロイヤリティは一切いただきません

  • 立ち上げに必要な部分を手厚くサポートする代わりに、サポート費用(コース料金) をいただく
  • その後は 月会費4,000円 で、基礎的なサポートを継続

という形です。

訪問マッサージは、毎月やることがほぼ決まっていて、

  1. 集客(ケアマネ営業など)
  2. 施術
  3. レセプト(保険請求)

この3つに必要な部分を、コースに応じてサポートしています。

 

開業サポートのコース設計(70万〜・メインは150万)

藤井:サポート費用は、主に次のようなコースがあります。

 

ベーシックコース:70万円(サポート期間6ヶ月)

  • すでに 施術者の採用が要らない
  • 例:接骨院の院長、病院のオーナーなど、明日からでも動けるタイプ

 

ファーストコース:120万円(サポート期間12ヶ月)

  • 事業経験がある
  • 営業が得意
  • パソコン操作も苦にならない

という方向け。

 

ファーストコース・プラス:(サポート期間18ヶ月)

  • 会員さんの 約7割が選ぶメインコース
  • HPを自分で作れない方へのサポート
  • 開業手続き(厚生局・保険者関係書類など)の作成代行
  • 名刺・パンフレットなどの営業ツール作成
  • 本部の全国集客で案件が発生したとき、エリアに該当する会員さんへ優先紹介

 

プラチナコース(サポート期間30ヶ月)

  • 採用(求人媒体の設定・面接など)を本部が実務でガッツリ支援
  • 「売上が一定に到達するまで継続サポート」 という、売上保証に近い考え方のコース

 

 

月会費4,000円は「安すぎて心配?」問題

古川さん:ちょっとひねくれた質問してもいいですか(笑)。月4,000円 って、かなり安いと思うんですよ。

フランチャイズで固定ロイヤリティ3万円とかだったら、
30店舗あっても月90万円。
社長もいて、従業員もいて、スーパーバイザーもいて……ってなると、ほとんど何もできない。

「安すぎるところって逆に心配ですよね」

って、僕なら言うんですけど、そのあたりはどうですか?

藤井:月会費4,000円でカバーしているのは、あくまで 基礎サポート です。

  • メール相談
  • レセプトチェック
  • 賠償保険の手続き など

一方で、先ほどの 150万円のコース などが、
「個別コンサルティング」「伴走サポート」にあたる部分です。

古川さん:なるほど。150万円が18ヶ月の伴走サポート で、月会費4,000円は別枠の基礎サポート、と。それなら「安すぎて心配」っていうのは、必ずしも当たらないですね。

 

協会の運営は大丈夫?会員約600人+複数の収益柱

古川さん:とはいえ、「それで協会として大丈夫なんですか?」って聞かれません?

藤井:よく聞かれます(笑)。

私たちは、この事業“だけ”をやっているわけではありません。

  • 会員さんは 約600人
  • レセプト請求に必要なソフト(約1万3,000円/月)を使っている方も多い
  • 本部で行っている 患者集客 に関する業務フィーもある

こうした 複数の収益柱 があるので、
オーナーさんの売上に連動したロイヤリティを取らなくても運営できる構造になっています。

 

FCと協会モデルの差:「月商200万で30万取られるか、会費4,000円か」

藤井:具体的な違いとして、月商200万円 のケースで考えてみると、

  • フランチャイズ
    • 月商200万円 → ロイヤリティで 30万円前後 支払い
  • 日本訪問マッサージ協会
    • 月商200万円でも、月会費は 4,000円のまま

私たちは、

「オーナーさんの頑張りに比例して金額を取る」

ことは、一切していません。

 

黒字化の目安:半年で患者13名・売上44万円前後

スタッフ:安いだけで結果が出なかったら、“安物買いの全身支援”になってしまうので(笑)、黒字化の目安 も知りたいです。

藤井:早い方だと、半年で売上200万円 に到達するケースもあります(集客が得意な方ですね)。

ただ、説明会では「偏差値55くらい」の 平均的な事例 をお見せしています。
その方の推移がこちらです。

  • 1ヶ月目:患者2名
  • 2ヶ月目:2名
  • 3ヶ月目:3名
  • 4ヶ月目:1名
  • 5ヶ月目:5名
  • 6ヶ月目:1名

→ 半年で合計 13名
→ 売上は約 44万円

このあたりで、

  • 施術者の給料
  • 家賃・光熱費
  • その他必要経費

を払って、トントン〜微プラスくらいの黒字 になるイメージです。

 

月給30万円はいつ?「売上100万(患者30名)」がひとつの基準

スタッフ:自分の給料 30万円 を取れるのは、どのあたりですか?

藤井:ひとつの目安は 売上100万円 です。患者さんが 30名くらい ですね。先ほどの「偏差値55」の方だと、ここに到達したのが 1年半くらい のタイミングでした。

 

3年後の到達点:売上270万・月給120万の事例

古川さん:その方が3年くらい経つと、どのくらいまでいきましたか?

藤井:3年目には 売上270万円
ご自身の給料は 約120万円 でした。

 

古川さん:ストック型で積み上がっていく感じですね。

藤井:そうですね。派手ではないけれど、積み上がっていくビジネス です。

 

成功確率のリアル「2:6:2の法則」

古川さん:ちょっと踏み込んで聞きますが……10人中、何人くらいは成功できますか?

藤井:20年この業界を見ていて、2:6:2の法則 かなと感じています。

  • 2割:ガンガン伸びていくタイプ
  • 6割:しっかりプラスで長く継続できるタイプ
  • 2割:残念ながら、赤字や撤退になるタイプ

 

いきなりドカンと一発当てたい という方には、あまり向いていないかもしれません。

派手さよりも、淡々とコツコツ継続できる方には、しっかり成果が返ってくる事業だと思います。

 

まとめ:FC以外の選択肢があることを知ってもらえたら嬉しいです

古川さん:僕もいろいろ勉強させていただきましたけど、

  • 勝ったり負けたりのビジネスではない
  • コツコツ積み上げていくタイプのストックビジネス

なので、「地道にやるのが苦じゃない人」にはすごく面白い と感じました。

藤井:ありがとうございます。このチャンネルをご覧になっている方は、
いろいろな起業の形を検討されていると思います。

  • 訪問マッサージという事業もある
  • その中にはフランチャイズもあれば、協会型のような ロイヤリティを取らないモデル もある

いろんな選択肢を知ったうえで、
ご自身に合うサポートの形 を選んでいただけたら嬉しいです。

 

今回のインタビュー内容が、

「訪問マッサージ事業に参入してみようかどうか、迷っている」

という方の判断材料になればうれしいです。

「自分の場合はどうなのか、もう少し詳しく聞いてみたい」という方は、
日本訪問マッサージ協会までお気軽にお問い合わせください。