「一番頼りにしていた先生が、辞めることになりました。」

こんにちは、
日本訪問マッサージ協会の藤井です。

月末最終日ですので、

「本日をもって
 退職させて頂きます」

何て言われている院長も
いるかもしれません。

訪問マッサージ院を経営していると、
「せっかく育てた施術者が、
 独立して辞めてしまった……」
というご相談をよくいただきます。

しかも辞めていくのは、
営業もできて、施術もうまくて、
患者さんの評判もいい
いわゆる【優秀な施術者】
だったりするんですよね。

院長からすれば
「ここまで育てたのに……」と
思いますよね。

でも、これは施術者が
恩知らずだという話では
ありません。

問題は「人」ではなく、
訪問治療院の「構造」にあると
僕は思っています。

そもそも訪問マッサージは
【独立しやすい仕事】です。

美容師さんも似ていますが、
訪問の場合は店舗すらいりません。

資格と自転車があれば
出張専門で開業できてしまいます。

さらに毎週同じ先生が
自宅に来るので、患者さんや
ご家族が信頼しているのは
「院」の代表の院長(社長)ではなく
現場で週2~3回対応してくれる
「担当の施術者」なんです。

だから担当の先生が動けば、
患者さんも一緒に動きます。

数年間経験を積んだ人が
「自分でやった方が稼げるのでは?」
と考えるのは、
ある意味自然なことなんです。

しかも小さな訪問治療院では、

「あなたは施術だけ
 やっておいてくれれば
 大丈夫ですから」

なんて余裕はないですよね。

一人の施術者がケアマネ営業も、
同意書の段取りも、施術対応も、
レセプト請求も
経験することもあるでしょう。

そうすると、自分の担当患者さんの数、
月間の訪問件数に施術単価を掛ければ、
院にいくら入っているかも
暗算できてしまう。

例えば、
23人の担当患者さんがいて、
月間の施術回数が180回
一人当たりの
平均施術単価が4500円とすると、、、

【80万/月】!!!???

これを1年間続けると年間で

【1000万】!!!???

あれれ???

でも、毎月給与として
振り込まれるのは25万しかない・・・。
(※うちの治療院は
 夏も冬もボーナスもないし・・・(泣))

これって、もしかしたら
自分で独立開業したら
手取り1000万も
可能なんじゃないか!?

そんな風に考える施術者が居るのは
自然なことです。

しかも

「なるほど!ケアマネさんに
 このキラートークを言えば
 患者さんが増えるんだ」

「同意書はこうやって
 医師にお願いすれば断れずに済むんだ」

「レセプトは、手書きでも良いんだ。
 しかもどこかの団体に
 所属する必要もないんだ」

と分かれば、
独立に必要なものはほぼ揃っています。

人手が足りない以上、
ある程度は仕方ありません。

ただ、何でもできる
施術者を育てることは、
【自分の治療院をコピーできる人】を
育てることでもあります。

訪問マッサージの開業支援を
している僕が言うのもなんですが、
院長の皆さんは知らないうちに
雇用した施術者に対して
「無償の開業支援サポート」を
しているのかもしれません(笑)。

では、どうすればいいのか?

契約でガチガチに縛っても、
根本的な解決にはなりません。
所詮、紙きれですから。

しかも、今まで自分の
治療院に貢献してくれた施術者を
裁判沙汰になるのもイヤですよね…。

改善ポイント僕は、
大きく3つあると思っています。

1.個人施術者に依存している
  事業モデルを変える

一人の優秀な施術者の技術や
営業力だけで売上が立つ治療院から、
会社として価値を提供する
治療院に変えていくことです。

患者さんが
「○○先生だからお願いする」
だけでなく、
「この治療院だからお願いする」
という状態をつくる。

その為には、
小さな治療院のままでは苦しいです。

【大きくする】という
覚悟を持つことが出発点です。

2.分業して、つながりを院に残す

営業、施術、レセプト、
患者管理を一人に全部やらせず、
少しずつでも仕事を分けて
仕組みにしていきます。

患者数が増えてくれば、
自然と分業制になっていくものです。

あわせて、患者さんの
連絡窓口は施術者個人の携帯ではなく
院の電話番号にします。
複数担当や代診の体制をつくり、
ケアマネさんへの
報告書も院のフォーマットで出す。

そうやって「先生の患者さん」を
「院の患者さん」に変えていきます。

3.会社(治療院)そのものを成長させる

これが一番大事です。
毎日訪問して、施術して、帰ってくる。
1年後も3年後も5年後も同じ。

そう見えてしまうと、優秀な人ほど
「このままでいいのかな……」となります。

だからこそ、リーダー、分院長、
エリア責任者、教育担当と、
新しい役割をつくっていく。

会社が成長すれば、
そこで働く人の未来も増えます。

そうなれば「独立した方が得」ではなく、
【ここにいた方が
 自分も成長できるし、
 結果としてお得だな】と
思ってもらえるはずです。

このブログを
読んでいる院長ご自身も、
学校を卒業していきなり
独立した訳ではなく、
どこかしらで数年間勤務されて、
色々と想うことがあって、
独立された一人ではないでしょうか。

だとすれば、
今いる施術者があなたと
同じことを考えていても
不思議ではありません。

辞められるたびに
「最近の若い施術者は……」と
嘆くのではなく、
一度、自分の治療院の仕組みを
見直してみてください。

患者さんとのつながり、
集客の経路、仕事の仕組み。
これらが院に残ってはじめて、
訪問治療院は「資産」になります。

独立したくなる会社ではなく、
【ここにいたいと思える会社】をつくる。

それが、施術者退職の
負のループから抜け出す
第一歩だと思います。