こんにちは、
日本訪問マッサージ協会の藤井です。
訪問治療院を経営していると、
ふとした瞬間に感じることがあります。
「この患者さんとの距離感、
ちょっと近すぎるかも…」
もしくは、
「もう少しだけ深く関われたら、
信頼が得られるのに…」
そうなんです。
患者さんとの距離感って、
実はめちゃくちゃ重要。
でも、見落とされがちなんですよね。
もちろん、訪問で
自宅にお邪魔するわけですから、
一般の治療院よりも距離は近くなりやすいです。
会話の時間も長い。
日常生活の様子も見える。
時には家族構成や
生活の苦労まで知ることになります。
そうすると、
「つい感情移入してしまう…」
「頼られたら断れなくて…」
ってこと、ありませんか?
僕も昔はそうでした。
患者さんが“いい人”であればあるほど、
ついフレンドリーになってしまい、
気づけば治療時間が延びたり、
家族の愚痴を毎回聞くようになっていたり…。
その結果、
自分の感情が引っ張られて疲れてしまったり、
他の患者さんへの対応に影響が出たりする。
これ、まさに「距離が近すぎる状態」です。
逆に、ビジネスライクすぎて
淡々と接してしまうと、
「なんだか冷たい先生だな」と思われて、
信頼関係が築けないこともあります。
つまり、訪問マッサージ、
訪問鍼灸において重要なのは、
「近すぎず、遠すぎず」という
絶妙な距離感なんです。
では、どうやったらその距離感を作れるのか?
そのコツは、たった一つ。
「プロとしての自覚を持つこと」
これに尽きます。
フレンドリーであることと、
馴れ合いになることは違います。
共感することと、
感情的に巻き込まれることも違います。
僕が出会った
信頼されている治療家さんたちは、
皆さんこの“線引き”がうまいんです。
患者さんの話にはしっかり耳を傾ける。
でも、判断は冷静に、丁寧に伝える。
同情ではなく、支援としての共感を大事にする。
ある院長さんは、
「訪問マッサージは“サービス”ではなく、
“ケア”です」と言っ
これ、深いですよね。
だからこそ、
施術の時も、言葉選びも、態度も、
“プロ”としての姿勢を崩さない。
それが、
・患者さんの“依存”を防ぎ
・こちらの“心の消耗”も防ぎ
・何より“施術の質”を高めるんです。
実際に、訪問するたびに
「先生に会えるのが嬉しいんです」と
言ってくれる患者さんも、
適切な距離感があるからこそ、
感謝と信頼が生まれているんです。
人間関係には“間(ま)”が必要。
患者さんとの関係にも、
「心地よい間合い=信頼」
を育てる空間が必要です。
近すぎると見えなくなることもある。
遠すぎると伝わらないこともある。
だからこそ、「あえて一歩引く勇気」も、
院長としての“力”だと思うんです。
今日のまとめ。
・信頼関係を築くには
「感情の距離」を意識する
・フレンドリーさとプロ意識を両立させる
・“適度な距離”があるからこそ、
継続的な関係が育つ
ぜひ、施術現場で、
「この距離感、ちょうどいいかな?」と
一度立ち止まってみてください。
それが、治療院全体の
“質”を底上げするきっかけになるはずです。