こんにちは、
日本訪問マッサージ協会の藤井です。
最近、当協会に
患者様より
「マッサージ師さんが
コロコロ変わって困っている…」
といった相談が増えています。
例えばこんな事例です。
脳梗塞後遺症で要介護2になり、
1年近くたった男性の患者さん(70代)。
半年ほど前から、
ある訪問マッサージ会社に依頼して
毎週2回ほど訪問マッサージを
受けるようになった。
最初はその会社の
所長さんのような方が担当してくれたが、
すぐに、新人っぽい先生に
交代になった。
一生懸命施術してくれたので
良かったのだが、
やっと慣れてきた3か月目に
突然、他のマッサージ師さんに
変わってしまった。
そして、4月から
また新しい先生になると
連絡が入ったのです。
施術に関しては、
多少やり方も違うので、
できれば同じ先生に
施術してもらいたい…
と思うのですが、
訪問マッサージの
施術者の先生は
コロコロ変わるのが普通なのでしょうか?
こういった相談を頂くのは、
大手の訪問マッサージ会社に
依頼をされた
患者さんが多いです。
大手の訪問マッサージ会社の場合は、
基本的には、施術者と患者さんの
「1対1」の関係を嫌います。
出来るだけ、1人の患者さんに対して
複数人の施術者で
対応するケースが多いです。
例えば、
鈴木トラさん(週3回施術)
という患者さんに対して、
月、金曜日はA先生、
水曜日はB先生
といった施術回数の
配分になります。
なぜ、このような体制になるのか?
それは、施術者が辞めるからです。
施術者は、早かれ遅かれ
いずれかのタイミングで
必ず辞めます。
だから、訪問マッサージの経営者としては
施術者が
いつ辞めてもいいような
組織体制を
作っておかなくてはなりません。
訪問マッサージ会社の
経営者の視点から見て一番困るのは、
施術者が突然辞めて、
そのまま患者さんも持ち逃げして
同じ商圏で
独立されてしまうパターンです。
これは、困ります…(><)
経営者としては
泣きたくなるほど困りますが、
この業界では良く起こるケースです。
この最悪の事態を避けるためには、
1人の患者さんに
複数の施術者で対応して、
万が一、その中の
施術者が辞めたとしても
残りの施術者で継続してフォローできる
体制をとる必要があります。
これは、経営者側の選択としては
とても正しい判断です。
しかし、患者さん側の視点としては、
「施術者がコロコロ変わって
落ち着かない」
「毎回、違う施術者が来るので
会話が合わない」
「女性と男性の先生で、
全然施術内容が違う…」
などの不満も上がってしまうのです。
だから、出来ることであれば
「施術者の完全担当制」が
望ましいのです。
訪問マッサージ会社の経営者的視点の
「どの施術者が入っても
同じレベルの施術を出来るようにする」
というのではなく、
施術者が完全担当で
10人なら10人、
20人なら20人の
患者さんの施術に対して
完全に責任を持って対応する。
その方が
患者さんの些細な変化もわかるし、
その患者さんの
趣味嗜好が分かるので会話も弾み、
なにより、もっと
元気になってほしいという
責任感もでてきて
施術の質もあがるからです。
訪問鍼灸マッサージは、
安定的な収益になりますが、
その前に、
何よりもまずは治療家として、
患者さんに対応する仕事の
面白さを知ることが大事で、
目の前で困っている人を
なんとかしてあげたい、
という心構えが1番重要です。
そして、それが理解できれば
必然的に施術の質も
上がっていき、
リピートも増えていくのです。
もちろん、組織として
訪問マッサージ院を
運営している場合は、
施術者の経験やスキルによって
質の違いが出てきたり、
正社員、パート、業務委託などの
雇用形態によっても施術の対応法なども
変わるので難しい部分もあるでしょう。
しかし、少なくても
施術者にとっては、
「毎回、先生が来てくれるのが
1週間の中で1番の楽しみよ~」
などと言われ、
”この患者さんに必要とされている”
という点が何よりの報酬であり、
この仕事の一番の魅力だと思います。
このように、
世の中の多くの患者さんは、
「毎回毎回コロコロと
施術者が変わって困る」
と思っており、世の中の
多くの施術者は、
「1人の患者さんに
責任をもって施術し、
この患者さんに必要とされている」
という実感が欲しいのです。
この患者さんの「不」と
施術者の「不」を
同時に解消できるよう
行動できるといいですね。