こんにちは、
日本訪問マッサージ協会の藤井です。
以前に、
「入歯を年間1000個売る」という
歯科医(M先生)と
お話しする機会がありました。
「入歯を年間1000個?」
最初にお話しを聞いた時は、
この1000個という数字が
多いのか少ないのか
分からなかったのですが、
業界の平均が年間で
6個と言われているので、
業界平均の166倍の
入歯を販売しているのです。
鍼灸院や整骨院と同様に
入歯の業界にも
保険適用の保険入れ歯と、
保険適用外の
自費入れ歯があります。
自費入れ歯の
世界は職人の世界で、
材料や形状にこだわると、
入歯1つで100万円とか
200万円を超える
料金体系になる世界のようです。
多くの歯科医院では、
「保険入れ歯よりも
自費入れ歯の方が良い」
と提案されます。
その理由としては
保険入れ歯は制度上、
使える材質など
様々な制約を受けるので、
100%理想の
入歯を作る事が出来ない。
そこで多くの歯科医は、
患者さんの要望に応えるためには、
制度に縛られる保険より、
制度に縛られない
自費のほうが良いと考え、
自費の入歯を提案します。
現在、入歯を
年間1000個売るそのM先生も
以前は、こだわりの
自費入歯を150万円で
作っていたそうですが、
そこから方針転換して、
保険入歯(単価3万円)を
年間1000個、
作るようなスタイルにしました。
何故か?
その理由をひと言で表すと、
「疲れたから…」です。
1個あたり150万の
入歯となれば、
患者さんの期待値や要望も
かなり大きくなります。
”そこまで、
俺に求めないでくれ・・・”
患者さんからの
「院長のあなたじゃなきゃ
ダメなの」的な
プレッシャーが
半端なかったと言います。
でも、ふと振り返ったんですって。
うちの歯科医に来る
患者さんの9割は
日常生活を送る上での
入歯であれば、
保険入れ歯で十分じゃないかと。
むしろ、保険入歯という
「制約のある中で
結果を出すのがプロ」
という考え方もあるんじゃないかと。
技術の進歩もあり、
M先生の歯科医院では、
保険の制約の中でも患者さんに
満足していただける
入れ歯が作れるようになりました。
すると、どうなったか?
単価を1/50(150万→3万円)に
下げたが、
売上・利益は数倍になり、
精神的には10倍以上
ラクになったと言います。
院長の自分でなくても大丈夫な
体制が出来たのが、精神的な
安らぎに繋がっているのです。
歯科医も鍼灸マッサージ師も
同じよな職人気質の仕事です。
その中で、技術を極めて、
その価値を認めてくれる
6人の患者さんを相手にするのか。
制限はあるものの、その中で
最大のパフォーマンスを発揮して
1000人の患者さんを
院長以外のスタッフが
相手にするのか。
どちらが正解というものでは
ありませんが、
単価を下げることで、
喜ぶ人が増えて、
それで利益が増えて、
精神的にも楽になる。
そんな選択肢も
アリかなって思います。