予約パンパンの落とし穴

こんにちは!
日本訪問マッサージ協会の藤井です。

訪問マッサージ、訪問鍼灸の
個人事業主として
活動されている場合、
一人の施術者で対応できる
患者数は30名程度(週2回施術)が
目安になると思います。

週1回の施術の場合は、
60人程度対応
できる場合もありますが、
1人の施術者として
患者数が30人で、週6日営業で
1日平均で10件の施術、
売上も100万というのは、
実践している方も多いはずです。

「患者さん30人で売上100万」

これは、
個人鍼灸マッサージ師が
訪問マッサージ・訪問鍼灸で
ほぼ上限に近い数字だと思います。

「患者さん30人、
 上100万で予約パンパン

ひとり治療院が
達成した数字としては
素晴らしいものだと思います。

また僕も過去には、このような
予約パンパン状態が
一番いいと思っていました。

しかし、現時点では、
それが「 正解 」ではないと
思っています。

予約パンパン 」という響きは
確かに良いことですし、
僕も好きです。

そもそも、独立開業して
患者さんがゼロの時は、
予約パンパンにして
毎日フルに施術することを
目標に置いているはずです。

しかし、長期にわたって
治療院経営をしていくなかで
「 常時予約パンパン状態」には
隠れたリスクがある、
とわかってきました。

訪問マッサージ・訪問鍼灸の場合、
地元のケアマネさんから
新規患者の紹介を
頂くケースが多いです。

ケアマネさんの抱えている
利用者さん(要介護者など)から、

「自宅でリハビリとか
 マッサージを受けたいんだけど、
 良い治療院さんある?」

と要望を頂いて、
ケアマネさんが動くのですが、
そこで、予約パンパン
治療院に3回依頼しても、

「すみません!今予約
 一杯で受けられません!」(1回目)

「すみません!今予約が一杯で
 受けられません!」(2回目)

「すみません!今予約が一杯で
 受けられません!」(3回目)

という対応をしてしまうと、
ケアマネさんの
紹介先リストから
外れてしまうのです。

また、日本訪問マッサージ協会でも
「素晴らしい技術と
 誠実な人柄を備えた治療家さん」
と「寝たきりや歩行困難で
お困りの高齢者の患者様」の
橋渡しをする
支援サービスを行っておりますが、
そこで、3回依頼しても、
「すみません!
 今予約が一杯で受けられません!」
という治療院さんは、
当協会の紹介先リストから
外れることがあります。

短期間で患者さん30人を獲得して
売上100万まで持っていく先生は、
非常に人気があるので、
こちらとしても
是非お願いしたいのですが、

「あの先生にお願いしても、
 予約が一杯で断られるから・・・」

泣く泣く、
リストから外れてしまうのです。

でも、そんな予約パンパンの人気の
鍼灸マッサージ師でも、
常時、その状態を
維持できるわけではありません。

寒い時期になると、
患者さんがお亡くなりになったり
長期入院されたりが連続で続いて、
30人居た患者さんが20人くらいまで
減ってしまうケースもあります。

そんな時はやっかいです。
「あの治療院さんは
 人気があって好きだけど、
 いつも予約パンパン
 空きがないから、
 電話しても無駄だろう・・・ 」
という心理がケアマネさん働いて、
新規患者さんを
紹介してもらえなくなるのです。

逆に、無理に予約
パンパンにしないで
常時、3~5人程度の
空き枠を取っている治療院は
「あの治療院さんは、
 まだ空きがあるみたいだし、
 土曜日の時間帯でも
 受けてくれるかもしれない 」
という心理がケアマネさんにも働き、
電話をかけたくなるというわけです。

その結果、いつも予約
パンパン状態の治療院さんは、
空きの枠が出たとしても、
ケアマネさんのアンテナに
引っかからないままスルーされ、
常時3~5人程度の
空き枠を確保している治療院さんに
新規患者さんが流れてしまう
可能性が高いのです。

「いやいや、それでもやっぱり
 予約パンパンがいいでしょう 」

という声が聞こえてきそうです。

確かに、ひとり鍼灸マッサージ師で
予約パンパン状態は理想的です。

ただ、これから
長期的に治療院経営を
していくにあたっては、
上記のようなリスクがある、
ということも
知っておいた方がいいです。