副業解禁の波が示す“ひとり治療院の未来戦略”

こんにちは、
日本訪問マッサージ協会の藤井です。

ここ数年、いろんな経営者さんや
サラリーマンの方と話していて、
「働き方の前提が、
 だいぶ変わってきたな」
と感じることが増えました。

昔なら、
「会社を辞めるかどうか」
「転職するかどうか」
といった“職場そのものの選択”が
中心だったのが、

今は、

「会社員を続けながら、
 もう一つ軸を持てないか」
「本業とは別に、
 自分のフィールドを作れないか」

といった、“仕事を足す方向”
の相談がすごく増えているんです。

政府は「賃上げをしろ」と
企業に求め続けていますが、
現場の経営者からすると
そんなに簡単な話ではありません。

給与というのは、いったん上げたら
下げることができない“固定費” になります。

売上が安定しない
小さな治療院にとって、
固定費を増やす判断は、
経営そのものを圧迫しかねません。

もちろん、スタッフには長く働いてほしい。
努力に報いたい気持ちも
本音としてあります。

ですが、財務的に出せる
給与の“上限”というものは確実に存在します。

そこで院長として正直に伝えるべきことがあります。

「うちが出せる給与には限界があります。
 もっと収入を増やしたいなら、
 副業という選択肢もありますよ

これは冷たい言葉ではなく、
スタッフが
“人生の選択肢を増やすための提案”です。

実際、周りを見渡してみると、
施術者の方の中にも
副業でオンライン講座をやっていたり、
週末だけ別の仕事をしていたり、
フリーランス的な働き方を
試している人が珍しくなくなりました。

面白いのは、
その理由が「お金」だけじゃないということ。

・スキルを広げたい
・自分の可能性を試したい
・会社だけに人生を預けるのはコワい
・やりがいの持てる時間を増やしたい

こうした
“自分の人生の主導権を取り戻す動き”が、
確実に広がってきていると感じます。

治療院業界においても
「今の働き方だけで大丈夫なのか?」
と感じ始め、自分でできる仕事、
地域に根ざした仕事、
そして“意味のある仕事”を
求めるようになっています。

今現在、鍼灸院(自費)、
整形外科、接骨院などで
勤務している施術者の中で
「副業としての訪問マッサージに
 魅力を感じる層」
増えてきているということです。

ここで、院長として
考えたいポイントがあります。

それは、あなたの院が
“未来の働き方に合った場所”になれているか?
という視点です。

副業が当たり前になった社会では、
働く人が職場に求めるものが変わります。

・自由度
・成長できる環境
・自分の裁量がある働き方
・自分の人生にプラスになる経験

こうした価値が、
これまで以上に重視されます。

訪問マッサージの仕事は、
実はこの価値観にピッタリなんです。

一人ひとりの患者さんと向き合い、
自分の施術がその場で役に立つ。
地域に密着し、誰かの生活を支える。
そして、技術や人間力が
そのまま成果につながる。

“自分で自分の価値をつくる仕事”なんですよね。

だからこそ院長として重要なのは、
スタッフが「ここで働いてよかった」と
胸を張って言える環境をつくることです。

例えば、

・自分でルートや働き方を選びやすい設計
・成長を実感できるフィードバック
・成果や変化を共有できる仕組み
・患者さんの“ありがとう”が
 ちゃんと伝わる場づくり

こうした仕掛けを、
少しずつでも整えていくこと。

副業解禁の流れは、
「個が強くなる時代」の象徴です。

会社や組織ではなく、
“自分の力で生きる人”が増えていく。

その結果、
訪問マッサージのような
“自分の価値が見えやすい仕事”は
ますます注目されていきます。

つまり、今は人材採用にも
チャンスがあるということ。

求人を出すなら、
「業務内容」「給与」だけでなく、

・働き方の自由度
・地域貢献性
・成長の実感
・人生にとっての価値

こういう“本質的な魅力”を
ちゃんと伝えていくことが重要です。

副業解禁のニュースが示しているのは、
“働く人の価値観の転換”です。

その変化に合わせて院を
アップデートできる院長が、
これからの時代に強い
組織をつくっていきます。

今日も、自分とスタッフの働き方に
少し意識を向けながら、
一歩ずつ前に進んでいきましょう。